入社して7年、ずっと同じ部署です。正直、心地よいです。
ずっと同じ環境なら、心地よい。でもそれだと、衰退の一途をたどる。
そういう話が、専門誌とバーの例で出てくる本を読みました。
林伸次さんの『おじさんになっても』【PR】(ディスカヴァー・トゥエンティワン)です。
渋谷でワインバーを続けている著者が、なぜ今のおじさんが嫌われるのか、どうすればいいのかを書いた26篇のエッセイです。
自分自身に向けて書いた本でもある、とまえがきにあります。
古い読者の「卒業」を促す
いちばん引っかかったのは、第4章の「村」にしないために、という項でした。
古賀史健さんのnoteから、ある専門誌の編集長の話が引用されています。
「彼は何年かに一度誌面を大幅リニューアルし、古い読者の『卒業』を促すのだとおっしゃっていました。そうしないと専門誌のコミュニティは閉鎖的な『村』になってしまって、あたらしい読者が入ってこなくなる」(131ページ)
著者のバーも、しょっちゅうリニューアルしているといいます。
「禁煙にしたときはお客様が激減しました。でも少しずつ、煙草が苦手な新しいお客様が増えていきました」(132ページ)
「古い常連さんが偉そうに振る舞っていることもたまにあります。そういうときは意識的に、そのほうが居心地悪いような雰囲気にして、僕のバーからの『卒業』を静かに促したりしています」(132ページ)
心地よいところから逆行する強さ
卒業を促す、という言い方がいいなと思いました。
閉鎖的になって新しい人が入ってこなくなる、という見方もよかったです。
目先の心地よさより長い目で静かに続けていこうとする意識と、心地よいところから逆行していく強さに、響くものがありました。
そういえば、購読しているメルマガでも、似た話を読んだ記憶があります。
小さなお子さんを無料で招待して、客層を広げている、というような。確か、です。
入社7年の総務は、心地よい
では、自分はどうなのか。
自分の部署は、総務です。
後輩が入ってきてから、もっと違うやり方があるんじゃないか、と思うようにはなりました。
言ってから、気づきました
先日、ある手続きを後輩と進めたときのことです。
「昔は、参考になる写真の撮り方があった。ここになくても、ネットを探せば出てくるはず」と言いました。
言ってから、これは要らなかったなと思いました。念のため今の状況を調べて、とも伝えています。
後輩は何も言わず、素直にネットで探してくれました。
本の第2章に、似た話があります。
著者は雑誌『ダンチュウ』で紹介されたカレーを出すたびに、そう説明していました。
ところが最近は「『ダンチュウ』って何ですか?」と言われることが多くなったといいます。
若いときは、上の世代から「ゲバ棒を知らないの?」と笑われる側でした。
「当時、僕自身『なんでそんなの知ってなきゃいけないの?』と感じたはずなのに、今度は自分が同じことをしていたわけです」(53ページ)
著者も、言ってから気づいたそうです。そこは同じでした。
後輩に任せて、でしゃばらない
いまは少しずつ、後輩に仕事を任せている最中です。
任せた事務的な仕事は、問題なく進んでいます。次は、対人の業務だと思っています。
極力、自分がでしゃばらないようにも、意識しているところです。
全社向けの発信も、自分が出しても後輩が出しても、対応してもらえればそれでいい。
後輩が頑張っているぶん、後輩のほうが評価されるほうがいいです。
ただ、いいねの数は、後輩のほうが多いんです。ま、少し複雑ですけど、真剣に嫉妬しているわけではありません(笑)。
本には「席をゆずる、という仕事」という項もあります。
著者は30代半ばで新しい音楽がわからなくなり、音楽評論の仕事を断ったそうです。
才能ある若い音楽ライターに席をゆずろうと思った、というのが理由でした(128ページ)。
「ときには自分が座っている席をゆずることも必要です」(127ページ)
読む本と、白いTシャツ
自分の「村」は、もう一つあります。読む本です。
ビジネス書が好きです。献本をいただく流れで、いまはビジネス書以外にも手を広げているところです。
SNSのタイムラインも、昔はNFTやWeb3が多くて、今は本とAIです。
逆に、読んでも変えないことが、一つあります。
99ページに、白いTシャツの話が出てきます。
「職場の40代の上司が、夏になるとたまに白いTシャツを着てくるんです。透けて見える乳首が気持ちわるくて…」
そんな声が紹介されたあとに、著者はこう書いています。
「僕も一生白いTシャツを着るのはやめようと心に誓いました」(99ページ)
読んで、ギクッとしました。
ただ自分は、下にタンクトップを着て見えないようにしているので、セーフということにします。
お気に入りなので、このまま着ます。
会社と家以外の場所
白いTシャツはさておき、本の最後の話です。
「ぜひ、場所を、ハブを持ってみてください」(204ページ)という一文で締めくくられます。
著者は10年くらいヨガスタジオに通って、ひとりも友だちができなかった、と書いています(192ページ)。
自分は、会社と家以外に、定期的に行く場所がありません。
本のイベントや、めがねのイベントには、行きたいと考えています。
直近はサイン会に行って、買った本にサインをしてもらいました。
大人数になるのが苦手なので、行っても会話はあまりせず、見て、雰囲気を味わうくらいです。
いろいろ経験してみたい気持ちは、あります。
本書はツナグ図書館経由でディスカヴァー・トゥエンティワン様よりご恵贈いただきました。ありがとうございます。
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