こんなに気持ちが悪い会社の話を読んだのに、アカウントを消そうとは思いませんでした。
思わなかった自分のほうが、逆に不思議です。
なので、なぜなんだろうと検索したり、AIに聞いたりしました。
読んだのは『ケアレス・ピープル 権力と欲望、失われた理想の物語』【PR】です。
サラ・ウィン=ウィリアムズさんが書いて、池田真紀子さんが訳しています(すばる舎)。
Facebookで公共政策のディレクターをしていた人が、入社してから会社を去るまでを書いた本です。
544ページあります。
気分が悪くなったのは、読み終えたあとでした
読んでいるあいだは、そこまで気分は悪くなりませんでした。
悪くなったのは、読み終えたあとです。
いつもどおり、この本の情報をNotebookLMに集めました。
そのうえで、どんな本かをまとめてもらいます。
そのまとめを読んだところで、気分が悪くなりました。
たぶん、量です。
一つずつは読んでいたのに、並べられると別のものに見えました。
心理的に弱っている瞬間を狙う
たとえば、2017年に流出したという機密文書の話。
13歳から17歳の若者を狙い撃ちにする仕組みを、FacebookとInstagramが広告主に提供していたそうです。
狙うタイミングも決まっていました。
「自分には価値がない」「自信がない」「役立たずだ」と感じて、心理的に弱っている瞬間(472ページ)。
ある化粧品メーカー向けの設定も出てきます。
13歳から17歳の少女が自撮り写真を削除した直後に、美容関連の広告を出す。
著者はこう書きます。
「人が何かをこの世から消すときはかならず理由がある」(475ページ)
赤ちゃんを産むときに、分娩台でノートパソコンを開いて仕事をしている場面もありました。
489ページで、誰も手を差し伸べませんでした
ただ、自分がいちばん引っかかったのは、そこではありません。
489ページです。
オフィスで、契約社員の女性が床に倒れて痙攣しています。口から泡を吹いて、顔から血を流している。
近くの社員は、完全に無視していました。
誰も手を差し伸べようとせず、何も起きていないかのようにキーを叩き続けていたそうです。
著者が「あなたがマネージャー?」と聞きます。
「ええ。でも、いま忙しいの」
その人は契約社員だから、そんな情報は持っていない。そろそろ契約も切れる予定だし、人事に問い合わせたら。
マネージャーの答えは、そういうものでした。
この場面のあと、著者が書いた一文です。
「私は、そんな人間になりたくない」(489ページ)
読んでいて、そりゃそうだよなと思ったんです。
内側にいたほうができることがある、と思っていた
この人は、七年近くその会社にいました。
いた理由が、526ページに書いてあります。
「外にいるより内側にいたほうが多くのことができると自分に言い聞かせてきた」
『踊る大捜査線』の「正しいことをしたければ、偉くなれ」を思い出しました。
自分の仕事も、決まりを今の会社に合わせていく側です。合っていなければ変えたほうがいい、と言うところまでしかできません。
一気にではなく、だんだん歪んだ
同じ526ページに、こうもあります。
「私が理想と仰いだFacebook像はすっかり歪んでしまった」
入社する前に見えていたFacebookのことを、折に触れて思い出す、という書き方でした。
一気に嫌いになったのではなくて、だんだん歪んでいったんだと思います。
読んでいるときは平気だったのに、まとめを読んで気分が悪くなった自分と、少し似ている気がします。
アカウントは、そのままにしています
では、読んだあとの自分がどうしたか。
Facebookのアカウントは消していません。
もともとそんなに使っていないインスタとスレッズも、そのままです。
多少なりとも自分にメリットがあると考えているからでしょうか。
そんなに単純に割り切れないからでしょうか。
こんなひどい会社とは一切かかわらない、ときっぱり言えればいいのですが。
たかが自分ひとりがアカウントを消しても何もならない。
そうであれば、このままなんとなく使うのがいいのではないか、と思っている自分がいます。
ちなみにこの本には、じゃあ読者はどうすればいいのか、が出てきません。
著者は、使うのをやめろとも、こう使えとも言わないのです。
海外には、この本を読んでアカウントを消した人もいるようです。
自分は、まだ決められていません。
決められないまま、このレビューの短いほうを、インスタとスレッズに載せます。
本書はツナグ図書館経由ですばる舎様よりご恵贈いただきました。ありがとうございます。
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