ドラゴンボールの発売日を、本屋のレジ下で知っていました

ドラゴンボールの発売日を、本屋のレジ下で知っていました

飯田一史『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』を読みました。子どもの頃に通った2階建ての本屋のレジ下に貼ってあった発売予定表の記憶と、「毎日行く場所」から「わざわざ行く場所」への変化について書いています。

ドラゴンボールの発売日を、本屋のレジ下で知っていました。

子どもの頃、塾の帰りに寄っていた本屋があります。2階建てで、1階に本と雑誌、2階にCDやDVD。よくある町の本屋だったと思います。

レジの下に大きな紙が貼ってあって、ひと月分のマンガや本の発売予定日が書いてありました。集めていたドラゴンボールの次の巻をその紙に見つけると、テンションが上がっていました。

サッカー雑誌をめくって、ビジネス書や小説の棚をざっと見て帰る。週に1回は行っていた覚えがあります。

そのお店は、今はもうありません。気づいたのは、結婚して引っ越したあと、久しぶりに実家に帰って、前を通ったときだった気がします。

本屋は、「わざわざ行く」場所になっていました

飯田一史さんの『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』【PR】(平凡社新書)を読みました。「普通の書店」の商売がどのように成り立ち、変わり、どんな背景から競争に敗れてきたのかを、戦後からの資料でたどっていく本です。

『書店員の怒りと悲しみと少しの愛』を読んだときにこの本が出てきて、書店員のみなさんが楽しみにしていた本、という形で書かれていたので、図書館で予約しました。誰も予約しておらず、すぐに借りられました。

いちばん引っかかったのは、まえがきのこの部分です。

「かつて書店は市街地や商店街、学校近くやオフィス街のあちこちにある『ふらっと寄る』『雑誌の発売日に必ず行く』場所だった」

1985年に大阪の書店組合が採ったアンケートでは、20代の4人に1人以上が「毎日」行くと答えていたそうです。それが今では「本好きが、わざわざ行く」場所になっている、と続きます。

毎日は行っていませんでした。見ていたのも雑誌ではなく、マンガの発売日です。それでも、発売日が理由で本屋に行く、というところは同じでした。

その週1の習慣は、中3で塾が終わったタイミングで、ぐっと減りました。その後も、何かのタイミングで思い出せば、ふらっと寄ることはありました。いまは月に1度行くかどうかです。新刊の情報は、昔のようには追っていません。

Kindleの日替わりセールは、基本的に毎日見ているんですけど。

1階の雑誌も、2階のCDも、本の中に出てきます

本書によると、1990年代後半から雑誌の需要が大幅に減ります。売上が減ると、取次(本の問屋にあたる会社)からの請求が厳しくなり、小さなお店は次々に倒れていったそうです。

あのお店の描写は、ほかにもありました。書店はもともと利幅の薄い商売で、時代ごとに兼業の相手を変えながら成り立ってきたそうです。1980年代にはCDやDVDのレンタル・販売との組み合わせが大当たりして、2010年代にSpotifyやNetflixに取って代わられていく。1階に本と雑誌、2階にCDとDVDという、あの形がそのまま出てきます。

「消えた」ではなく、「つぶれた」と書く本です

著者は、本屋がまるで自然現象のように「消えた」「なくなった」という言い方はしたくない、と書いています。出版社から穏当な言葉に変えないかと何度も提案されても、一店一店が忸怩たる思いを抱えながら耐えきれなくなり「つぶれて」きたのだ、と。

あのお店が「なくなった」のか「つぶれた」のか、自分は知りません。

いまは、わざわざ行く理由を意識しています

ところで、この感想を書いていて気づいたことがあります。

最近、サイン本やサイン会があるからこの本屋さんで買う、カバーが面白いのでその本屋さんで買う、ということを意識するようになっていました。この前『殺し屋の出世術』を、サイン会があると知って買ったと書きましたが、あのサイン会にも、梅田の紀伊國屋書店さんまで行ってきました。順番が来ると、著者の野宮有さんが立ち上がって挨拶してくださって、なんか嬉しくなった記憶があります。

サインをしてもらったあと、他の著者のサイン本で気になったものを2冊買い足しました。せっかくお店まで来たので、同じ値段なら、サイン入りという他の人とは違う1冊が欲しくなったからです。

カバーにも、実例ができました。Xで面白そうだと流れてきた正和堂書店さんに行ってみたら、ブックカバーの種類が多すぎて、どれにしてもらうかで結構悩みました。そこで買ったのは『うれしい悲鳴をあげてくれ』と『大阪電車春秋』。普段の自分なら選ばない本です。なんで手に取ったのかと聞かれると、引っかかる展示がされていたから、としか言語化できません。ただ、この2冊は、あのお店でないと買っていなかったと思います。

振り返ると、あのあたりからちょっとは変わったのかなと思っています。タイトルやデザインに惹かれるところは、あのころからあったような気がしています。

発売予定の紙を楽しみにしていた子どもが、いまは、わざわざ行く理由を意識している。まえがきの一文は、自分の話でもありました。

図書館が、本屋さんに行くきっかけになっています

図書館には、週1くらい、だいたい土曜日に行っています。予約した本を受け取って、読み終えた本を返す、その入れ替えです。この本も、その流れで返してきました。

この本には、図書館と本屋の関係を扱った章もあります。自分の実感で言うと、図書館で面白い本に出会うと、普段入らない本屋さんに行くきっかけになります。実際、本屋さんから足が遠くなっていたのに、また行くことが増えたような感覚があります。気になるものがあれば、買っています。

図書館には、いつもそこそこ人がいます。昔はもっといたのかな、とも思いますが、こんなに本が好きな人がいるのかと、勝手に嬉しくなっています。別に、何か自分がするわけではないのですが(笑)

本書は図書館で借りて読みました。献本ではありません。

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