我慢の平年だけ、更新していませんでした

我慢の平年だけ、更新していませんでした

今田由紀子さん『異常気象の科学』を読みました。著者が「おわりに」で書いた「若い世代にとっては、いまが平年」という気づきと、中学のサッカー部から更新されていない自分の平年について書いています。

我慢の平年だけ、更新していませんでした。

図書館の本を探すときにカーリルというサイトを使っていて、そこの「今話題の本」に出てきたのが『異常気象の科学』【PR】でした。

異常気象という言葉に惹かれて、すぐ予約しました。

猛暑や豪雨、大雪がどういうしくみで起きるのか、これから日本の気候はどうなるのか。

それを気象学の範囲にとどめて扱った本です。著者は東京大学で異常気象を研究している方で、今年の猿橋賞を受賞しています。

異常気象は、本来なら30年に1度のことです

「はじめに」に、異常気象の定義が書いてありました。

気象の世界では「通常」を過去30年間の平均値で決めていて、異常気象というのは本来、30年に1度くらいしか起きない現象を指す言葉だそうです。

それが毎年のように来ている。著者はここを「異常な現象があたりまえのように起こるというこの矛盾」と書いていました。

読んでいて引っかかったのは「おわりに」です。

著者が、本を書きながら気づいたこととして、こう書いています。

いま我々が異常だと騒いでいるこの状況は、10代や20代の若い世代にとっては日常であり平年である、と。

そのうえで、異常気象の定義が意味をなしているのか、平年の定義はどうあるべきなのか、と続きます。

予測を出す側の人が、自分の使っている言葉のほうを疑っていました。

自分の平年は、中学のサッカー部のままです

では自分の平年はどこかと考えたら、中学のサッカー部でした。

最初に浮かんだのは、あのころはまだ過ごしやすかったな、という感想です。いまの暑さと比べたら、過ごしやすかったほうだ、と。

ところが、そのときのことを書き出したら話が変わりました。

キャプテン翼の日向小次郎みたいに、シャツの袖を肩までめくり上げていました。

昼間にサッカーをしていて、休憩になるとダッシュで水飲み場まで行って、水を顔に浴びながら一気に飲んでいます。

書いていて、間違いなくこのときも十分に暑かったな、と気づきました。

我慢の更新を、しようとは思わなくなりました

十分に暑かったのに、自分の平年はそこから動いていません。理由はたぶん、暑さの中に居続けなくなったからです。

あのころのようにずっと外にいることはないし、誰かに強制されて外にいることもありません。

やばいとなったら室内に入って、エアコンですぐ涼めます。

もうひとつあります。昔は、暑くて倒れるというのがイメージできませんでした。

最近は暑くて倒れたという話をよく聞くので、そこまで我慢することに意味がないと思うようになったのも、あると思います。

我慢の更新を、しようとは思わなくなりました。

一方で、暑さのほうは更新され続けるようです。

2100年の予報図に、40℃台が並んでいます

この本で、いちばん多く写真を撮ったのが第6章でした。

「未来の異常気象」という章で、ここからガッツリ自分に関係してくるところだと感じたからです。

第6章に、2100年8月のある日の最高気温予報という図が載っています。40℃台の数字がいくつも並んでいました。

猛暑で知られる熊谷市については、45℃を超えるような事態が起こっても不思議ではないとあり、2100年ごろの夏休みはほとんど屋内で過ごすことになるかもしれない、と書かれています。

いまはほとんど猛暑日が観測されない那覇市でも、猛暑日が28日まで増えるという予測でした。

同じ章に、温暖化を止める側の対策では間に合わないので、確実に来る将来にどう適応していくかを、国や自治体だけでなく個人のレベルでも考えることが大切だ、と書かれています。

この図を見て考えたのは、また違うレベルの暑さが来るというのが、まったく想像できないということでした。

宇宙服みたいなものを着て、中に涼しい風を送りながら外を歩くのが普通になるのかな、というくらいしか浮かびません。

そうなると、いまの暑さも、そのころから見れば可愛いものになるんだろうな、と思います。

第6章の最後に、こういう一文がありました。予測はあくまで予測であり、答え合わせはこれからです、と。

そして著者は、この予測が「いい意味で裏切られること」を期待して、この章を閉じました。

ここから先は本に書いてあることではなく、自分がそう思っただけです。

暑さのほうは、この先も更新されていきます。自分の平年のほうは、いまも中学のままです。

読んだあとで何かを変えたかというと、そこは何も変えていません。

本書は図書館で借りて読みました。献本ではありません。

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